今日の読書

「サラン 故郷忘じたく候」(荒山徹/文春文庫)
読了。
太閤秀吉の朝鮮出兵に軸を置いた短編六本収録。
いつもの荒山伝奇を期待しながら最初の「耳塚賦」や二本目の「何処か是れ他郷」などを読むと「あれ……? 妖術は……? 柳生は……?」と思ってしまう。
「耳塚賦」は本来なら鼻塚と呼ばれるべきもの(秀吉は首級の代りとして削いだ鼻を塩漬けにして送らせたという。その鼻を葬った塚なのだから鼻塚と呼ぶべきだろう)が、なぜ耳塚と呼ばれるようになったのか。
「何処か是れ他郷」は秀吉に滅ぼされた雑賀衆の生き残りふたりが、主を変え戦場を変え、対秀吉のスタンスで転戦した挙げ句の果ての物語。
これら二本は多少の浪漫とファンタジーはあれども、伝奇的な荒唐無稽さとは無縁な歴史小説。
三本目の「巾車録」に至ってようやく妖術らしきものが出てくるけど、人によっては「夢」で片付けられるスパイス程度のもので、それほど大仕掛けではない。こういうさりげない使い方をさせても上手いので、一変外連味を廃した骨太の荒山幻想小説とかも呼んでみたい気がする。
四本目「故郷忘じたく候」は恐らく、俺的荒山二大作の「柳生薔薇剣」序盤の下敷きというかパイロット版的な作品なのだと思う。このネタをリアル系の短編で料理すれば「故郷忘じたく候」になり、柳生ネタの大作伝奇にすれば「薔薇剣」になるような……最初の二本が朝鮮寄りのスタンス、三本面がどちらも変わらずというスタンスなら、ここではやや日本より(けれどもやっぱり変わらず)のスタンスか。
ラストの「サラン 哀しみを越えて」のヒロインたあの数奇な運命は大変なものだ。歴史伝奇ネタを探して資料を漁ったりすると、年表暗記ではわからない意外な人と人との相関図が妄想できたりして面白いのだけれど、このたあも凄い。そしてラストは「さすが荒山!」というようなオチがついていて面白い。
伝奇を期待すると肩透しだけれど、伝奇脳の持ち主が歴史小説と思って読むと、けっこう粒ぞろいの良作がそろっている。


「柳生非情剣」(隆慶一郎/講談社文庫)
読了。
メタルブラザーである山口はがね氏の推薦で購入した一冊にて柳生分補充(笑)
これも短編六本収録で蓮也齋・友矩・宗冬・十兵衛・新次郎・五郎右衛門について書いている。
中でも尾張柳生・兵庫助利厳の父にあたる新次郎厳勝について書いた「跛行の剣」が面白かった。逆境に立ち向かう男の生き様が熱い。最初の合戦のシーンからすでに逆境状態というのがたまらない。鞘を使った必殺剣は、この本一番のギミック戦闘であり、そのギミックには唸らさせられる。
「跛行の剣」では凡庸の剣士扱いされている五郎右衛門だが、ラスト一本の「逆風の太刀」での主役っぷりを見るに凡庸なんてとんでもない。本編引用だと「まさに戦鬼であり、魔神だった」とか。相手が高レベル剣士ではなかったってこともあるけれど、この本におけるいい男っぷりは十兵衛以上。ラスト二行が素晴らしい。
面白かった。

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麓川智之

Author:麓川智之
某ゲーム会社勤務。シナリオ書いたりスクリプト打ったり企画やったりしています。 趣味筆頭は読書なものの、文庫落ち待ち派でハードカバーは滅多に買いません。 じっさい文庫はけいざいだよ。

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