限界進化、解除――

画数多めの漢字に「エヴォリミット・アンロック」とか横文字でルビ振るの、厨二臭くて最高ですね。
一から十まで全部それだとうざったいわけですが、ここぞという所で使ってくれるのは俺的に大好物です。
というわけで、Propeller第五弾『エヴォリミット』オールクリア。
リーティア→カズナ→雫の順で、個別ルート入る前に、選抜試合に負けるココロ堕ちエンドも回収澄み。
面白かったからこそ、惜しいと思う点にも目が行くが、総括するとやっぱり面白かった。

まず安定の良主人公。
前作『Bullet Butlers』のリックは彼自身は普通に格好良かったものの、主を立て一歩引く執事体質が目立ったせいで、シドとの絡みも含めてどちらかと言えば主であるセルマの物語という印象が強かった。
そのせいかセルマのルートは良かったものの、反面、ヴァレリアや雪のルートが弱いように感じられた――というか、雪ルートなんてガラルートだったし。
そういう意味では、ちゃんと不知火君が主役として物事の中心にいるのは嬉しい。
それと清々しいほどの変態性。
変態と言っても嫌な変態ではなく良い変態。
おかげで日常パートの笑いが充実していた。
やっぱり主人公が魅力的だと、話はぐっと面白くなるなあ。
基本一人称で進むADVは主人公というフィルタを通して世界を見るわけだから(アナザービューとか除く)、主人公が気に入らないとそれだけで進めるのが辛くなる。
昨今多いの毒にも薬にもならないタイプの主人公は、ユーザーに嫌われる要素を削ぎ落としていった結果生まれたもので、商売としてはリスクをなるべく小さくするのは間違っていないのだけれど、やはり要素を削ったものはそのぶん小さくまとまってしまうわけで。
作品的な風呂敷もそうだけど、ある程度実験的なことをしても許される市場なので、開拓者精神を忘れずに行きたいところ。
あー、そういうの苦手なんで、自分のことは棚に上げさせてもらいますが(笑)

それからヒロインが三人とも全員ちゃんと可愛い。
やはり属性がかぶらないように、全員魅力的に描こうとするなら、三人から四人程度まで絞るのがいいのかもしれない。
と言い放った舌の根の乾かぬうちに――
あれ……ココロとツナミのルートがない……だと……!?
ツナミはまああのポジションだから仕方ないにせよ、ココロにルートがないのはどうかと思うんだ。
それこそパッチの力やら進化しまくった神の力やら使えば、あの境遇の方は何とかなっただろうに。
もったいない、もったいない。
可愛らしかっただけにもったいない。

そして、もったいないをキーワードに、少しばかりぶちぶちと。
作品のキーワードである進化。
主人公のギィこと不知火義一は、進化することで新たな力に目覚め窮地を切り抜けるわけだけれど、そこにはリスクは存在する。
そのリスクが作中では少々不足気味だったと思う。
そのへんのリスク描写は『Bullet Butlers』の黒禍の口笛のアレの方が良かったかな。
引き返せないレベルが高いほど、それでもなお力を求める覚悟の描写が光ると思う。
そういう意味で、炎神分岐で降りられた件に関してはツッコミたい。

一番簡単で分かり易い方法は「外見的な異形化」とかかなあ。
『あやかしびと』怪獣大決戦との被りを避けたんだろうけど、わかりやすさは大事だと思う。
最初の階段を昇った時点で兆候が現れ、誰にもそれが気づかれない内に、周りの人間(モブでもいいけど)に異形化に対する拒否反応を示させることで、主人公の抱える秘密とさせ、そして階段を上る度に隠せないレベルに度合いが増していく――とかなれば、進化するかどうかの葛藤に緊張感が出たのではないだろうか。

また、もう少し凝った方法としては「悲しみ」の感情欠落による、対人関係での致命的失敗を大きめイベントとして描写しておき、そして最初の進化によって別の感情を欠落し、それを他人に指摘されてぞっとするとか。
悲しみがないことについては不知火君は長い付き合いなので、慣れというか対処の経験値溜まってるわけだけど、その他の感情を無くした場合どうすれば――
未知って恐怖なわけだし、進化って未知へ踏む込むことなわけだし、それでも前に進むのかっていうのは、テーマに沿った描写ができるのではないだろうか。

能力に関係することだけど、シェアリングも設定として非常に美味しいだけに、十全使い切れてなかったと思われるのが惜しい。
欲を言えば、各ルートヒロインと一回はシェアリングで、それぞれ違うパターンの能力コンボを見せてほしかった。
ヴォルケイノとアバランチの合体でフレイザード――は好きそうなだけに、悪ノリに見える可能性を危惧して自重したのかもしれないけど。

それと方々で言われてるだろうけど、忍者はもっと頑張れたはず。
具体的には日常パートでもっと出張って、存在感と不知火に対するコンプレックスの芽生えと肥大化をアピールするべきだったと思う。
個人的には最初から雫とのふたり暮らしにするよりは、男女別学生寮的なところで忍者とアクアをルームメート(諜報部による監視も兼ねる)とかにさせていたら、親友件ライバル的雰囲気が出て、選抜試験とかでも盛り上がったんじゃないだろうか。
エロゲ的にそれだと正ヒロインたる雫の扱いがどうかなーというんだったら、選抜試験前にふたりで強化合宿させるとか、ツナミ保護後に揃って寮を出るとかの展開で。

逆にチャペック株の上昇カーブは異常。
体験版の時点では(そもそも出番がほとんどなかったからだけど)目立たなかったチャペックが、同じ●●の●というリーティアルートだけでなく。ほぼ全ルート通してあんなに美味しい役所を得るとは。
もはや義体による攻略ルートがあってもいいぐらい。
いや、ブラザーだし人気投票枠的にパーソナリティは男なんだろうけど、あんまりそういうの意識させるシーンはなかったからなあ。
ドミトリに娘自慢されたタイロンが、冗談半分で「オレの娘もスゲェぜ!」的な追加機能を作っていてもおかしくはない――かもしれないこともないとか妄想。

まあ、こういう風に「ああだったら」「こうだったら」というのは、本当にもったいないと思っているというか、面白かっただけに――という気持ちが大きいからで――

というわけで、ココロとツナミとチャペックが大活躍するファンディスクに期待。
そんな予定などまったくなかろうと勝手に期待。

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麓川智之

Author:麓川智之
某ゲーム会社勤務。シナリオ書いたりスクリプト打ったり企画やったりしています。 趣味筆頭は読書なものの、文庫落ち待ち派でハードカバーは滅多に買いません。 じっさい文庫はけいざいだよ。

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