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『江戸群盗伝』(半村良/集英社文庫)
伝奇ではなく時代物。
タイトル通り、江戸の土地時代を舞台にした盗賊たちを全九編で描いた短篇集で、人物や事件の移ろいに緩い繋がりがあり、連作と言えばそんな感じ。
いわゆる盗賊賛歌ではなく、昔かたぎの盗賊たちが汚い急ぎ働きに移り変わっていく時流の中で「ああ、もう盗賊もおしめぇだな」的に足を洗う気を起こしていく。
盗賊ではなく面裏に通じた世話役を描いた「先達貫太」が個人的には面白かったかなあ。
「賽銭吉右衛門」で募った恨みを盗賊らしいやり口で晴らす展開も胸がすく。
解説というのは名ばかりの自伝っぽい短篇で知ったんだけど、清水義範って半村良の弟子筋にあたる人だったのか。
そういえばライトなSFジュブナイル『魔獣学園』(実は『のーふぇいと!』のメイベルの体質はこれの主人公がモデル)はまったく違う系統だけど、その後に出した『羽黒冥府道』とかは確かに半村伝奇の系譜にあるよなあ。